日本において介護の歴史は浅く、親の面倒は長男とその嫁で行うものだという慣習があった。戦後70数年を経て、その当時生まれた人達には訪問介護という言葉の認識がないまま、訪問介護を受けている人々が多い。
訪問介護には身体介護サービスと生活援助サービスがあるが、前者は入浴・トイレの介助・おむつ交換・食事介護・外出の付き添いなどで、後者は日常生活のサポートである食事の用意・洗濯・買い物などが主である。利用できるのは要介護1~5に認定された方がほとんどである。

訪問介護は介護はするけれども、それは本人に対してだけであり、たとえ同居している家族がいても除外される。利用者本人以外、たとえ利用者でも日常生活範囲を超えた行為の援助は行われない。どこまでが日常生活の範囲なのか本人がわからない場合もあるし、ホームヘルパーと慣れてくると立場を忘れてしまうこともあるのだ。
訪問介護を行うホームヘルパーは研修を受け資格を取り介護の知識を身につけてるが、受ける側はそのような知識・理解を持たないまま介護を受けることになる場合が多いのである。当然、そこには認識のズレが生じ、最悪の場合、問題が発生する。

本人に対して訪問介護の意味をしっかりと理解してもらうことは重要なことだ。介護を受ける側の家族や親族にも、しっかりと介護できる範囲を納得してもらい、過剰な要求をしないよう理解してもらいたい。日本において予想できていたにもかかわらず、突然のような高齢化社会だ。介護に対して認識の遅れ、一般教育の欠如が介護を受ける側のレベルの低さを表している。今後も増え続ける訪問介護に対して理解と教育をする場が早急に必要である。